VOW! 20世紀末サブカル界を席巻したバイブル

手元にはもうVOW2!一冊しか残っていないのが残念。このシリーズ大好きだった。街の変なものとか、おかしな投書、笑いをとるつもりはないんだろうが笑える新聞記事、などなど、読者の投稿を編集した本。SNSのない時代はこういう媒体が大活躍した。ぴあのはみ出しって投稿欄も懐かしい。今でいえばツィートのようなものか。未だに忘れられないツィートが二つある。一つは、彼女にディスコ(!ディスコ!)に誘われたので、2階の自室でこっそり踊る練習をしていたら電気の配線工事の人にしっかり見られた”(-“”-)”という恥ずかし系。もう一つは、昔懐かしい伝言板での発見。当時は銀行の支店に伝言板があり、習い事の生徒募集などの書き込みがあったりした。そこに”家庭教師倒します(致します、の間違いですね当然)”と書いてあったという話。なんでこんなこと何十年も覚えているのか。もともと路上観察ブームの火付け役となった超芸術トマソンの大ファンで、故赤瀬川原平氏の感性に魅せられて長いのだが、宝島のVOWはその子供のような存在だろう。箸が転げてもおかしい年ごろはと~っくに過ぎていても、読むと笑ってしまい幸せな気分になる。これを読んでも笑えなくなったらお終いという気がする。

そうか830円だったのか。とにかく怒涛の笑いを呼ぶ投稿ばかりなので傑作を紹介しようとしても選べないほどだ。いまふと思い出した投稿。学校(高校か?)の歴史のテストで、ルイ14世だかの横顔のイラストについての問題があり、それがなんとかつらを外したルイ14世の顔を描けで、それじゃ歴史というより美術のテストだと大いに笑った。全く意図がわからない問題を出すセンスが素晴らしい。スーパーの特売で卵おひとり様2パックのところを4パック売れと座り込みの実力行使に出たおじさん、給食のおかずが一品足りないと激怒し授業を放棄した先生、ドラえもんのビデオを借りたまま半年近くも返却しなかった暴力団員などなど、芋づる式に浮かんできたこれらのエピソードは全て新聞記事からの抜粋である。なんとも平和な時代。子供の詩、誤植、意味不明の看板、笑いの種ってどこにでもあるものだ。辛いときも、苦しいときも、悲しいときも、笑いを忘れずに乗り越えていこうなんて健気に思わせてくれるVOWは人生の指南書だ。先に触れた赤瀬川氏の著作の中で、教養主義や美術史に捉われずに日本の美術を独自の視点で紹介した山下裕二氏との共著・日本美術応援団が特に私は好きで、そこで昨今ブームの伊藤若冲や曽我蕭白などを知った。私は勝手に彼のこともVOWと並んで人生の師と仰ぐ。合掌。

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