ストリート・オブ・ファイヤー 愛し合いながら断腸の思いで別れる二人 ロックンロールファンタジー

映画のカテゴリーに入れたが、テーマソングの”Tonight is what it means to be young”が好きなのである。ストリートギャングに拉致された人気ロックシンガー・エレン・エイム(ダイアン・レイン)をかつての恋人・トム(マイケル・パレ)が奪還する物語。ストリートギャング・ボンバーズの首領に悪役の権化といった容貌の若き日のウィレム・デフォーが扮している。今見ると青い感じがするものの、当時から十分怖い顔をしていたデフォー、この役では卑しさもにじませる演技で真骨頂を発揮している。

♪サンセットキッス♪の歌が印象的なリトル・ロマンスのヒットで日本でも人気だったダイアン・レイン。アメリカ人の少女とフランス人の少年がパリで出会い、ベニスに行く。恋愛のエッセンスが結晶していく過程を鮮やかに描いた映画で、ジョージ・ロイ・ヒルの演出が光る。映画の重要なモチーフとなるベニスの溜め息の橋には、日が沈む時、恋人同士がゴンドラに乗ってその橋の下でキスすると永遠の愛が約束されるという伝説がある。二人が永遠の愛を誓おうとそこに向かうシーンの詩情あふれる美しさは見事だ。そのリトル・ロマンスの頃は少女だったレインが十代の後半に差し掛かり、セクシーな美しさを披露している。豊かな胸に長い脚、びっくりするほどスタイルがいい。トムを演じたマイケル・パレは当時は無名だったそうだが、王道のヒーロー役にぴったりでかっこよかった。

内容は西部劇の現代版のようでどうってことないー何と言ってもラストのライヴシーンが圧巻で、レインの歌は吹替ながら痺れるパフォーマンスを見せてくれる。海辺や森で美しい天使を見たけれど、都会には天使はいない。でも天使がいなくても男の子ならいる。男の子は天使の次にいいものかもしれない、という詩が好き。祝祭を始めよう、炎を燃やして。安らげない、傷ついた人たちのために踊ろう。青春は気が付く前に終わってしまうから・・・邦題、今夜は青春(身も蓋もない訳に思えるが、原題がその通りだから仕方ない)の通り、激しく燃え盛る若さが炸裂する歌。本当は一緒にいたいのに、エレンのステージを見守りながら去っていくトム。熱い視線を交わして、パフォーマンスの途中で出ていく彼とそれを見送るエレンの断腸の思いが曲のクライマックスと重なって最高に盛り上がる。熱いロックンロールファンタジー。しかし映画自体は本国ではこけたそうだ。このかっこよさ、アメリカ人の心には響かないのだろうか。個人的にはそれが不思議である。

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