紅茶大好き フォションのアップルティも懐かしき紅茶愛

紅茶が大好き。かれこれ20年余り紅茶が私の朝食。紅茶を愛飲して30年以上になり、何とも長い幸せな蜜月を過ごしている。きっかけは何だったのか・・・友人によると、私は高校時代学校にジャーを持ち込んで紅茶を淹れて飲んでいたのだそうだ。本人は覚えていないのだが。学生時代、知り合いに頼まれてあるステンドグラス作家の展覧会を手伝った。その作家について何の知識もなく会場に向かったらま~感じ悪いこと。高々と結い上げた髪の毛がバーのママさんチックで時代錯誤感いっぱいなのにブルジョワ気取りの鼻もちならない中年女性で、屋内でも真っ黒いサングラスをかけていたのが不吉でものものしかった。

自分は神戸の裕福な家の生まれで、抜きんでた美術の才能を発揮し、日本のステンドグラス製作を牽引する存在で・・・事実ならもちろん素晴らしいが、人の自慢話を嬉しがる人間は少ない。とても芸術家とは思えない俗物ぶりが鼻につき、終始反抗的な態度をとってしまった。作家先生も困っていただろう。それでも報酬を受ける以上身を尽くして働いたつもりだが・・・お気に入りらしき顧客の訪問を受け、私はお茶を出すように指示された。その時彼女が言った一言、彼女のスノッブぶりを象徴しているようで未だに忘れられない。”美味しい、フォションのアップルティーを”。鳥肌が立った。美味しいかどうかは当人が決めることで、もてなす側の主観でどうのこうの言うものではない。あー嫌だなこの俗物根性と思いつつ淹れたフォションのアップルティー、それが得も言われぬ芳香を放ち・・プルーストのマドレーヌ同様、今でもフォションのアップルティーを飲むとあの俗物作家を思い出す。日本に紹介されたフレーバードティーの走りといった存在のフォションのアップルティー、あのリンゴの香りは絶妙だった。果物フレーバーはどちらかと言えば苦手な私にもいい香りだった。マドレーヌ効果でいわくつきの作家先生の思い出が甦るのはなんともおかしいが、それが我が紅茶遍歴の初期の記憶でもある。

その頃はフォションやフォートナムメイソン、ハロッズの紅茶が流行っていた。どれも一通り試して楽しんだ後、新興勢力の台頭でそちらに心を奪われ、どの銘柄を好んだのかは忘れてしまった。みな缶のデザインが素敵でたくさん集めていたっけ・・・ハロッズなどロゴの文字も決まっていて好きだった。ハロッズにせよフォートナムメイソンにせよ、リニューアル前の昔の缶のデザインの方が私は好きだった。

それから夢中になったのが1988年に日本に上陸したマリアージュフレール。大きな缶に紅茶を保管し、そこから量り売りするスタイルの紅茶専門店は当時の日本には珍しかった。シックな店内、黒地にイエローのイラストが入ったおしゃれな缶、白っぽいスーツ姿でサーブする男性の優雅な所作に魅了されよく通い、高価な紅茶ながら背伸びしてフレーバードティ中心に色々な味を試した。こちら、それぞれにつけられた名前がまた素敵。ミント風味の緑茶・カサブランカ、ラプサン・スーチョンの傑作・ツァーアレクサンドル、花とスパイスのミックスブレンド・ノエル、薔薇とナッツとベルガモットの香り・ポンディシェリーなどなど。。。廃盤になったものもあり、今となっては懐かしい。日本ではマルコポーロが大人気のようだが、私が何と言っても好きなのがモーリシャスのお茶・グランボワシェリ。ヴァニラの香りが何より好きであれこれ試した中でも、香りづけしていないのにかすかにヴァニラの香りが漂うこのお茶が個人的には一番。

マリアージュフィーバーの後に私を襲ったのが、以前西麻布と自由が丘にあった紅茶専門店・パレデテフィーバー。こちらでは主にノンフレーバードティを中心に楽しんだ。目覚めに紅茶を飲むので、ダージリンやセイロンだと上品すぎる。覚醒したばかりの官能を刺激するには力強く濃厚なアッサムがよく、色々なアッサムを飲んできたうちで一番好きだったのがパレデテのバザロニ。胡椒を思わせるようなスパイシーでコクのある味わいだった。自由が丘の店がクローズしてからすっかりご無沙汰しているが、久しぶりにまた飲んでみたい。

その他にも缶が素敵で気に入ったフランスのクスミティ、日本だとこれもまたパッケージが可愛らしいカレルチャペック、最近大躍進しているルピシアなどを愛飲してきた。自宅にいる時は人間ドックの受診日でもない限り、まず紅茶を飲まない朝はない。私にとって朝はイコール紅茶とのひとときなのだ。太陽の降り注ぐ朝はより楽しい気分にさせてくれ、どんよりした憂鬱な曇り空の日は勇気づけてくれるかのような積年の友。もはやかけがえのない存在。美味しさを一層引き立ててくれる器で飲みたい。20年以上も愛用したウェッジウッドのホテルウエアは飲み口の厚みもほどよく、紅茶の水色を一段と美しく見せてくれる逸品だった。何たることか不注意で破損してしまい、今はそれによく似た某社のホテルウエアを使っているが、先輩には遠く及ばない・・・あのモデルが復刻されればいいのにと思う。

 

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