東京競馬場メモリアルスタンドWINS時

昨今、開催外に東京競馬場に足を運ぶのは圧倒的にシニア世代が多い。特に開催時はシニア席が多く設けられているメモリアルスタンドは開催外もシニアが多いため、シニアによるさまざまなドラマが繰り広げられている。もうずいぶん前-アローキャリーが勝った桜花賞の日。後ろに座っていたシニア男性が得意気に連れのシニア男性に語っている。”いやぁ、今回の桜花賞、俺の競馬人生のすべてを賭けていいってくらい自信あるんだよ。勝つのはサンターナズソング(善臣騎乗)だな。来なかったら金輪際競馬やめてもいいよ” 私は岡部騎乗のシャイニンルビーを買っていたのでふんふんと聞いていた。レースが始まってみると、直線であれよあれよという間に池添騎乗の人気薄アローキャリーが突き抜け、2着も猛然と追い込んだ人気薄ブルーリッジリバー。我がシャイニンルビーは3着、サンターナズソングは馬群に沈んだ”(-“”-)”私の馬券も風の藻屑と消えたが、後ろでその御仁たちがぎゃあぎゃあ騒いでいる。”あれっこれ日刊の鈴木当ててるよ!”日刊スポーツを読んでいたらしく、当時の予想屋・鈴木の予想的中に盛り上がっていたのだった。そして最終レースの前に、”最終、鈴木何に本命つけてる?!”と鈴木の予想に興味津々。買う気満々である。外れたら競馬をやめる覚悟の御仁の華麗なる変節ぶりに魅了された私だった。

また、東日本大震災の一年後の3月11日。午前中のレースで蛯名が落馬し、その後全レースで乗り替わりとなった。お昼休みに犠牲者への鎮魂の意を表してジョッキーも整列して黙祷があり、いつもの東京メモリアルスタンドで脱帽して黙祷していると、隣に座っていたシニアが騒ぎ出す。”なんだなんだこれは?!蛯名死んだの?”水を打ったような静けさの中で私は噴き出した。蛯名の落馬とシンクロしたとは言え、この発想ができるのもさすがシニアではなかろうか。その後、連れのシニアに説明されて納得したようだったが。”老人力”を提唱したのは敬愛する故赤瀬川原平氏だが、それがいかんなく発揮されている場所が東京競馬場のメモリアルスタンドであるといえよう。まだシニア席に入る資格がない私は開催外に訪れるのみだが、今後もシニアパワーの炸裂を見守りたいと思う。

 

 

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