思い出のレース 忘れじの名馬たち

競馬ファンにはみな数えきれない思い出のレースがある。思いつくままに自分の忘れがたいレースを挙げてみたい。映像を見ると熱い感動の涙がこみ上げるようなレース。まず、ラストランで勝つシーンには大体泣けるーラストランと称して走る馬は名馬ばかりだから当然思い入れも深いわけだけど。昔はラストランを飾れる馬はなかなかいないと言われた。それが近年は見事ラストランを飾って泣かせる馬が多い。最近では海外でそれを成し遂げたロードカナロアとモーリス。堂々たる勝ちっぷりで、両馬のラストランとも東京競馬場で中継を観ていた私はこみ上げるものがあり、一緒に観戦した友人に勝ったねと言う声が震えた。ロードカナロアもモーリスも、二階級制覇しているのがまた素晴らしい。

それからジェンティルドンナ。牝馬三冠達成、JC2連覇の輝かしい戦績を誇った彼女のラストランに予定されたのは、3連覇を目指したJC。でも勝てずに終わり・・・有馬に参戦を表明したときには驚いた。その有馬、中山コース未経験の、前走で引退のはずだった牝馬が勝てるはずはない、もし勝てば勝ったで感動ものだから、馬券からは外そう・・・とあっさり外した私は金は失ったが感動に浸った。強い勝ちっぷり。その日中山競馬場で催された引退式も思いっきり泣けて・・・ジェンティルの本馬場入場に使われたBGM、Climb every mountain、映画・サウンドオブミュージックで、尼僧になるつもりが男性を愛してしまい、神に仕える身でありながらと悩むマリアを修道院長が励まして歌う名曲。全ての可能性を追ってあなたの夢をかなえなさいといった内容で、牡馬、海外に挑戦したジェンティルにだぶってもう涙・涙。素晴らしすぎる演出。

その前はやはりオルフェーヴルか。凱旋門賞2年連続2着というこれもまた泣かせる偉業の後、有馬記念であっさり後続をちぎった王者の走り。4コーナー前のまくりでもう涙があふれた。そして言わずと知れたディープインパクト。凱旋門賞を勝てる馬が初めて日本から現れたと信じ、2006年の凱旋門賞は現地で観戦した。レース後はお葬式みたいな状態になってしまったが、後から、すべてのファン、関係者の夢を背負って走ってくれたことだけで感謝の気持ちでいっぱいになった。そのディープ引退の有馬も・・・武がまくっていった時に涙でディープの姿が滲んだ。

もっと前にはシンボリクリスエス。9馬身ちぎった有馬のラストランは涙というより驚きだった。個人的にはそれを凌ぐベストレースは連覇した秋の天皇賞。ペリエを背に直線で馬群を割って出てきた末脚に痺れた。そしてラストランから離れれば・・・安田記念のジャスタウェイ♪極悪馬場で、抜け出したグランプリボスを差し切ったあのド根性、当時レーティングナンバーワンホースの意地を見た。それからウォッカのダービー。多くの人は無謀な挑戦とみていただろうに、圧倒的な強さだった。この20年ぐらいライブ観戦しているダービーで、一番心に残るレースだったかも知れない。何より、ウォッカをダービーに挑戦させた陣営の慧眼がすごい。のちに馬主の谷水氏が、ウォッカが桜花賞で敗れた後予定通りダービーに向かわせたが、ダイワスカーレットが熱発でオークス回避の知らせを聞いた時、物凄い後悔のようなものが体をよぎったと書いていらした。ダービーなどと言わず、オークスに向かわせていたら絶対勝てたのにと。なるほどと思った。そんな思いまでして挑戦させたダービーを見事に制したのだから凄い。馬主も勝負師だから、常人にはわからない勘があるのだろう、結果的に英断だったのだ。

もっとさかのぼるとミレニアム伝説を築いたテイエムオペラオー。サンデー系ではなく、駆け出しの新人だった和田を背によく一年無敗で駆け抜けたと思う。最後の直線、満を持して詰め寄ったファンタスティックライトを退け、デットーリにクレイジーホース!と言わしめた2000年のJC、絶体絶命の位置から差し切った、神が降りてきたような2000年の有馬も印象的だが、勝手に一つ挙げるとすれば、すべての始まりだった皐月賞か。あれも絶体絶命の位置から差し切った、震えがくるレースだった。

これからも更なる感動を求めて、来週もまた天皇賞へと向かう。

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