オスカー・ワイルド讃-世紀末文学の旗手の慧眼

ここ何シーズンかのハイブランドのコレクションは、どこも攻めに攻めている感じ・・・といえば誉め言葉にも聞こえるが、正直悪趣味なデザインばかりが目立つ。奇抜なプリント、tackyと称される柄on柄、一度着てしまえばすぐ飽きそうなアクの強い組み合わせ。誰が着るんだろうって素朴な疑問である。ファッションというのは上品な趣味の良さだけを追求していたらいずれは閉塞に陥るものなのかもしれないが、やりすぎ感が半端じゃない・・・動物や怪獣を思いっきりフィーチャーしたりして、インパクトは強烈だけど。そこでふとオスカー・ワイルドの名言を思い出した。”流行とはひとつの醜さの形であり、ひどく耐えがたいので、6か月ごとに変える必要がある” 慧眼だ。彼が生きた19世紀末のロンドンではどんなものが流行っていたのだろう。日本でいえば十人十色、蓼食う虫も好き好きの成句が示す通り、人間の個性は各人異なるものなのに、猫も杓子も同じものに追従する光景は確かにエレガントとは言えない。流行に関しては、20世紀はフランスの文学者・マンディアルグも、”今流行っているものの大半は既に半ば死んでいるものだ”との見解を示しており、なるほどと思った記憶がある。ジェントルマンの国イギリスに戻ると、ワイルドからさらに一世紀時代を遡ればダンディ王として君臨したジョージ・ブランメルがおり、彼は”着こなしの上手な人間は決して衣服によって目立ってはならない。いかなる種類であれ、派手な模様は一切寄せ付けてはならない”との名言を残している。さすがダンディズムを産み出した国・イギリスだけあって、ファッションに一家言持つ人の言葉には重みがある。

そんなことを言いつつ、一昨年だか、イタリアの高級ランジェリーブランド・ラ・ぺルラが発表した架空の動物のプリントは結構気に入ってしまった。翼ある象や虎、キリン、謎の怪鳥、一番面白いと思ったのはフライングオイスター。誰かが生牡蠣を食べる際に取り損なって飛ばしてしまったのが由来なのではと勝手に思っている。西洋にはギリシャ神話の時代から架空の動物を創造する文化があり、興味深い。ボルヘスの幻獣辞典で知った、勝利の塔のア・バオ・ア・クゥーとか神秘的。と、オスカー・ワイルドの慧眼を称えるところが脱線してしまったが、ワイルドおよびブランメルに関してはまた別の機会に書いてみたい。

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