ツバメのように

ユーミンには人の死を歌った名曲が多い。デビューアルバムのひこうき雲のみずみずしい感性は言うまでもないが、その後に発表した死にまつわる歌もみな、個人的な体験が普遍化したかの如く、感情移入できるもの。戦争で恋人を亡くし精神に異常を来した女性を描くミス・ロンリー然り、白血病で他界した彼との思い出を語る雨に消えたジョガー然り、失恋して旅路での死を選ぶコンパートメント然り。と列挙してみたらみな時のないホテルからなのか。私がなんだか淋しい時に思い出すのはいつも決まってこのツバメのように、なのだが。

ユーミン自身が語っているように、ツバメのように、はシャンソンのパリ・ソワールを下敷きにしている。投身自殺した女性の顔にハンカチがかけられていたのが、本家ではパリ・ソワールという夕刊誌。その彼女を誰かがあまり美人じゃないと言ったのも本家の通り。そんな裏話を聞いても、ユーミンの歌の魅力は全く色あせない。女性が死を選んだのは、裏切った恋人のせいじゃない、どんな言葉に託そうと淋しさはいつも人の痛みなの、と歌うユーミン。30年ぐらい前、コンパートメントってミュージックビデオにも収録されていた。今でも痛切に思う・・淋しさはいつも人の痛み。

 

 

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