北斎とジャポニスム展ー五輪ロゴ盗作疑惑騒動に思いを馳せて

上野の国立西洋美術館で開催中の北斎とジャポニスム展を見てきた。先週は同じ敷地内の上野の森美術館の怖い絵展に行った。大雨にもかかわらず大盛況で、並ぶのに耐えられない私は飛ばし見してしまった。おそらく一番の目玉であろうレディグレイの処刑は見てきたが。北斎展も盛況だったが怖い絵展ほどの混雑ではなかったのでゆっくり楽しめた。北斎を切り口にジャポニスムを解釈するというのが面白い。どちらか一方の展覧会だったら雨の中わざわざ足を運ばなかったかも知れない。新しい試みとは大切だ。北斎が近代西洋絵画に多大な影響を及ぼしたことは知っていたが、正直その影響力の大きさに驚いた。モネやドガをはじめとする印象派の画家たちはこぞって北斎の構図を自作に取り入れている。今の世だったら、印象派は北斎のパクリだと激しく糾弾されることだろう。東京五輪のロゴ盗作疑惑騒動を思い出した。

北斎はダ・ヴィンチやミケランジェロと同じく、解剖学的観点から人体に興味を持っていたそうで、実にいろいろなポーズの人物画を残している。中には春画もあり、生々しい描写は衝撃的だ。男女とも着衣ながら媾合している部分を赤裸々に描いていて、なまめかしいというよりえぐい。それなのに男女の顔は無表情っぽく描いている。やはり関心があったのは顔より人体なのか。かなり長い仮名の文章が添えられていて何が書いてあるのか興味津々だったが、残念ながら全く読めなかった。達筆すぎて。いや普通の読みやすい字でも意味がわからなかっただろう。日本人なのに江戸時代の文章が理解できないなんてと情けないが、思えば明治時代の候文だって難しい。いずれ古典の名作を原文で読みたいなどと思っていたが、そんな野心が一気に吹き飛んだ。こちらの展覧会、ピンクの色調のフライヤーも可愛らしく、そこに描かれた北斎とドガの人物画と一緒に撮影できるスペースも設けられているのが今どきの催しという感じ。絵画にとどまらず、北斎の描いた動植物の図案を採用した磁器メーカーの食器やアールヌーヴォーのエミール・ガレのガラス器、カミーユ・クローデルの彫刻なども展示されており見どころたっぷり。もう一度行きたいくらいである。