愛と哀しみのボレロー冒頭の引用句が印象的で

もうずいぶん昔、ジョルジュ・ドンのバレエシーンが話題をさらったこの映画を観ました。数組の家族の数世代に亘る物語を描いた壮大なドラマで、複雑な人間関係がよくわからなかったのが残念でしたが、それはさて置き、この映画でどうしても忘れられないのが、冒頭の引用句なのです。

“人間の物語なんて、ほんの二つか三つしかない。それが、まるで今まで一度も起きたことがないかのような激しさで繰り返されていくのだ。ウィラ・キャザー”

(Original Caption) Willa Sibert Cather (1876-1947), American novelist.

はっとするような慧眼ではありませんか。生れ落ちて、成長し、やがて誰かと愛し合い、子孫を残して死んでいく-確かに人間の物語ってそういう意味では似たり寄ったりなのかも知れません。この名言は、20世紀のアメリカ南部を代表する女性作家の一人、ウィラ・キャザーが、開拓者の苛酷な生活を描いた“O Pioneers!”で残したものです。その前後を補うと、“古い物語がまた繰り返されていくのよー奇妙なものよね。人間の物語なんて、ほんの二つか三つしかない。それが、まるで今まで一度も起きたことがないかのような激しさで繰り返されていくのよ。数千年もの間、同じ5つの音を歌い続けるこの国のひばりのように。”と続きます。これは人生に置き換えてみても当てはまる気がします。人生の物語も、同じようなことが残酷にも何度も何度も繰り返されるように思えるのです。年を重ねるにつれ、身に沁みる言葉になっています。

ボレロを踊るドン、息を呑む美しさですね。シルヴィ・ギエムのボレロは全てを支配する女王のように美しく、ドンのボレロは神に捧げる生贄のように美しいといつも思います。恋人だったモーリス・ベジャールが、その手記で、ドンは常々舞台で死にたいと言っていた。そのドンが病院で死んだ、と書いていたのもなぜか忘れられません。

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